お客さんに教えてもらう
私が以前勤めていた青果の仲卸企業では、新入社員は現場の仕事に慣れてきた頃合いで、商品担当者(営業担当者)としてデビューします。では来月からキャベツの担当をやってみましょう。といった感じです。新たに担当者になった人は、上司や周囲の仲間のサポートを受けながら、徐々に商いを学んでいきます。良く聞かれたのが「お客さんに教えてもらった」という言葉。とはいっても、お客さんが実際に手取り足取り教えてくれるわけではありません。デビューしたての担当者よりもお客さんであるスーパーのバイヤーさんやベテランの八百屋さんの方が商品について良く知っている。そのような強者と対峙しながら商いをしていく中で商売のヒントが見つかったり、場合によっては知らないと円滑に商売ができないから、しょうがねーな、でもいつも頑張っているからな…といった感じで、仕方なくお客さんが諭してくれたり、という感じで教わるのです。一般的に、職場内の様々な人間関係から学ぶ職場学習は、経験学習の次に人の成長に大きな影響を与えるとされています。しかし、中小企業の場合、職場にいる従業員の人数やバリエーションに限りがあるために職場学習が十分に機能しないことも多い。そこで重要になってくるのが組織の枠を超えた人間関係(お客さんなど)から学ぶ越境学習です。
職場学習
人の学習は職場の社会的ネットワークのなかで達成されるとし、管理監督職・上司・同僚などの他者との関わり、支援、対話等によって人の学習を捉えます。職場における支援は以下の3種類に分けられます。
●業務支援:やり方を教える
例:指導、助言
●内省支援:気づきや振り返りを与える
例:フィードバック、客観的な意見
●精神支援:感情面のケアをする
例:励まし、褒める
越境学習
所属する組織の枠組みを越えて、組織の外と内を往還することによる学びです。組織の外で学んだことを所属する組織に持ち帰ることで新しい視点や能力につながります。
例:出向して外部のノウハウを学ぶ、社外の勉強会に参加して異業種の知見を参考にする、顧客に教えてもらう
かくいう私も、当時お客さんから多くのことを教えてもらいました。お客さんが消費者にどんな働きかけをしているのか。それを円滑に進めるために、普段何に注意しているのか。それをするうえで何に苦労しているのか。こうしたことを通じて、お客様は何を期待し、どうすれば喜ぶのか。つまり、どんな仕事をすれば今より高い価値を提供できるのかを理解できるようになりました。自分は良かれと思ってやったのにお客さんを怒らせてしまい、お𠮟りを受け(諭していただい)た時間はとても長く感じました。でも、その後その情報を社内に持ち帰って上司や経営者と共有することで、内省支援・精神支援を受け、それによりモチベーション高く挑戦的な仕事を最後まで進めることができた。我ながら一皮むけたと思った瞬間です。ポイントは、外で学んだことを上司や経営者と共有したという点。これにより様々な支援を受けることができた。みなさんにも似たようなご経験がありませんか?社内での育成リソースが不足している多くの中小企業では、学びの場を社外に開いていくことが求められます。顧客ニーズや取引先との商談の場が学びの場であるという認識を従業員と共有すること。さらにフィードバックの場の設定や、相談しやすい環境や雰囲気をつくり出すことを通じて、学びの効果を大きくしていきたいですね。
