顧客満足(CS)/ホスピタリティ ―感動を生み出し、心を掴む―

感動を生み出し、心を掴む

「売上上位2割の優良顧客(ファン)が利益の8割をもたらす」はパレートの法則と言われ、企業にとってファンがいかに重要かを示しています。企業の営業活動は、①新規の顧客を獲得するための活動/②リピーター・ファンへ顧客を育成する活動の2段階に分けられます。販売コストは①:②=5:1と言われています(フレデリック・F・ライクヘルド)。これらマーケティングの法則は営業活動だけでなく、採用活動にも当てはまりそうです。新規顧客(求職者)を獲得するためには、ナビ媒体や合同説明会への出展など多くのコストがかかります。企業への理解度が低い求職者の入社確度は低く入社してもミスマッチですぐに辞めてしまいますが、採用活動を通じてファンに育て上げた求職者の入社確度は高く入社後にモチベーション高く活躍できます。営業でも採用でも、ファンに育て上げる活動はコスパが良いのです。ではそのためにどんな行動をすればよいでしょうか?あなたは普段の生活でどんな時に心を掴まれてファンになりますか?顧客満足(CS)とホスピタリティを理解することがヒントになると思います。

顧客満足(CS)/ホスピタリティ

どちらも顧客体験の向上に関わる重要な概念ですが、目的・焦点・アプローチそれぞれに違いがあります。

顧客満足(Customer Satisfaction:CS)ホスピタリティ
目的顧客が商品やサービスに対して感じる満足度を高めること顧客に対して心からのおもてなしや温かい体験を提供すること
焦点サービスにより顧客のニーズを満たす顧客が事前に持っている期待(ニーズ)を超える、特別な体験を提供する
アプローチ・ビジネスマナー:身だしなみ、挨拶、言葉遣いなど
・マニュアル:マニュアル化を進めルールを徹底
・品質改善:顧客の意見を収集し、ニーズに応えられるように改善する
・自主性:自ら進んで喜びをもって行動する
・温かい対応:親しみやすく温かい気持ちで顧客に接する
・パーソナライズされたサービス:顧客一人ひとりの特徴や好みに合わせた行動を提供

顧客満足(CS)とは、顧客が最低限これくらいはできているだろうと事前に期待しているレベルを満たそうとする行為です。ビジネスマナーやマニュアルを徹底してミスを防止する必要があります。このレベルができていないと、顧客(求職者)は不満を感じて離脱し、場合によっては悪い口コミを書きます。これにより顧客(求職者)離れが進みます。一方でホスピタリティはどうでしょうか?従業員が自ら進んでとった顧客の期待を超える行動により、顧客(求職者)ははじめて感動します。心を掴まれれば、簡単には値切ったり、離脱したりしません。良い口コミを拡げて、新規顧客(別の求職者)を呼び寄せて企業の営業(採用)活動を手伝ってくれるでしょう。では顧客満足(CS)は重要ではないのか?そうではありません。顧客満足(CS)の状態ができて初めてホスピタリティが届きます。最低限のビジネスマナーができておらず不満な状況でホスピタリティを受けても普通は感動しないでしょう。ホスピタリティを経営に取り込むうえで一番難しいのは、なんといっても、それを従業員が自ら進んでやる・自らが喜んでやるという部分でしょう。一朝一夕にはできません。トップダウンの組織でホスピタリティをやりなさいと指示を出して従業員が従ってやったとしても、それはホスピタリティではあり得ません。ミッション・ビジョン・バリューなどの経営理念など経営の方向性の従業員による自分ごと化が進み、現場の自律的行動が支えられてこそホスピタリティは生み出されます。ここまできたら既にお察しのことかと思いますが、ホスピタリティは今やホテル・航空・観光業やサービス業だけの言葉ではないのです。テクノロジーやAIの進歩によって人々の仕事が代替されていく世の中だからこそ、人はホスピタリティを身に付ける必要があります。どんな企業であってもファンづくりを通じて営業や採用に大きな貢献をもたらす基本概念、それがホスピタリティなのです。