ファンを育てるアツい活動
香川県出身の県外大学生による香川県に戻りたいと思わない理由の第一位は、「希望する企業や仕事がない」です(香川県:県出身県外大学生等アンケート調査報告書:2020年12月)。残念であると同時にもったいないと感じます。かくいう私も、高校まで群馬、その後大学で東京・就職も東京、その後香川と、しばらくの間は東京にいました。香川は妻の故郷なのですが、来てみると、豊かな自然とコンパクトな街、中山間地域が少なく交通インフラが整備されていて、とにかく住みやすい。地方は東京に比べて可処分所得・可処分時間が多い。平均賃金は低いが生活に多くのお金がかからず、長時間の電車通勤など少なく通勤時間が短いから。でも戻ってきたくない、働きたい企業や仕事がないと思わせしまっている理由は大きく分けると2つ。①企業や仕事のそのものに魅力がない。②企業や仕事に魅力はあるが学生に伝わっていない。①が原因の企業が学生を採用するためには、まず自分磨きをした方がよい。つまり職場環境や仕事そのものの改善である。②が原因の企業は正しい方法で魅力を学生に伝える必要がある。ここではその方法の一つであるブランディングについてみていきましょう。
ブランディング
ブランディングとは、企業や商品、サービスなどが、顧客や社会に対して独自の価値を認識してもらい、競合他社との差別化を図るための戦略です。
●要素
・ブランドアイデンティティ:企業や商品のロゴ、カラー、フォントなどの視覚的な要素
・ブランドメッセージ:キャッチフレーズやスローガンなど、ブランドが伝えたいメッセージ
・ブランドストーリー:ブランドの背景や歴史、創業者の理念など、消費者に共感を呼び起こすストーリー
・顧客体験:商品の品質やサービス、カスタマーサポートなど、消費者がブランドと接触する際の全体的な体験
●目的
・顧客の信頼とロイヤリティの獲得: ブランドイメージを高め、顧客からの信頼を得て、長期的な関係を築く
・競合他社との差別化: 独自のブランドイメージを確立し、競合他社との差別化を図り、競争優位性を確立する
・価格競争からの脱却: ブランド価値を高め、価格競争に巻き込まれず、高い利益率を維持する
・従業員のモチベーション向上: 従業員のモチベーションを高め、企業への愛着を育む
●分類
・商品・事業ブランディング:WebサイトやSNS、セミナーなどを通じて事業の魅力や価値を発信
・インナーブランディング:社内報やSNS、社内イベントを通じて企業文化を形成
・採用ブランディング:独自の魅力を伝え、人材獲得に活用
●注意点
・一貫性:イメージは、すべての活動において一貫させる
・顧客視点:常に顧客の視点に立ち、顧客にとって価値のあるブランドを構築する
・継続性:長期的な視点で継続的に行う
大企業と同じ土俵で戦ってはいけません。多くの学生を説明会に集め、そこからふるいにかける。採用の世界で当たり前とされるそのやり方は大企業のものであり、中小企業には合っていないと思います。たくさん集めてたくさん内定を出しても、後から内定を出す大企業にごっそりと学生を持っていかれてしまう。私も中小企業で採用をしていた際に残念な思いをしたのは一度や二度ではありません。自社の採用資源を少数の学生に集中させる。採用プロセスを通じて一貫した企業のコンセプト(経営理念・経営戦略・強み・課題など)をじっくりと伝え、自社への理解度を高めながら共感してもらえるファンへと学生を徐々に育て上げていく。ブランディングはその軸です。そうやって採用した人は簡単には辞めません。内定・入社時点で、すでに自社の理念や価値観の自分ごと化ができはじめており、企業が目指す方向に向かって育っていく土台が完成しているからです。入社してから行う教育を前倒しで進めているとも言えます。特に新卒採用は緊急ごとではないため社内で軽視されがち。だからこそ採用が最重要な経営課題の一つであることを経営者が認識し、自ら従業員に伝え、経営者・現場・採用担当が真剣に採用に向き合えるようにする意識改革から始めましょう。経営者・現場・採用担当が一つのチームになり、自社について真剣に語り合う場を通じて出来上がるコンセプト。それをチームの軸として共有し、一貫したイメージを、各々が自らの言葉を使って学生に語りかける。このようにして採用活動が次の時代の会社づくりになります。この取り組みを通じて関わる全員が成長し、会社が成長していく。そんなアツい活動が採用なのです。
