最初の一歩
やっと良さそうな人が採用できても、早期離脱では振り出しに戻ってしまう。人材の流動化とともに、良い人材を自社に定着させ・育成していくことが、ますます困難かつ重要な課題になっています。新卒であれ中途であれ、新たに組織に加わった人は、新しい環境に馴染むことで、徐々に成果を出せるようになります。では、馴染むとはどういうことでしょうか?また、そのために組織や新たなメンバーはどう振る舞うべきなのでしょうか?
組織社会化
新しいメンバーが組織に適応し、組織の一員として役割を果たせるようになるプロセスを指します。
●予期的社会化
入社前にその組織や職務についての期待や情報を形成する
例:採用面接・内定式・内定者研修・企業ついて調べる行動など
●組織社会化
入社後に様々な機会を通して、必要な知識・考え方を獲得する
例:入社式・新入社員研修・OJTや業務に対する助言など
何色にも染まっていなかった新入社員は、様々な影響を受けながら徐々に組織の色に染まり、一人前になっていきます。
組織再社会化
すでに別の組織で働いた経験がある個人が、転職や組織間移動によって新しい組織に加わる際に再び社会化されるプロセスを指します。
●アンラーニング
前職で身につけた知識や習慣のうち新しい組織では通用しないものを捨てて、新たに学びなおす
●精神支援・人脈支援・内省支援・業務支援
安心安全・人の紹介・仕事に関する気づき・具体的な進め方に関して助言提供する
●積極的な行動
主体である個人が、自ら支援を要請する・自らフィードバックをもらいに行く
前職の色を抜き、新たな色に染まりなおすことで、徐々に組織に馴染み、成果を発揮できるようになっていきます。
中途入社の場合、前職での経験やスキルを活かすことで、即戦力になることが期待されます。育成コストや育成人材が限られている中小企業では新卒採用を行わず、中途採用に全振りする企業も。しかし、中途入社者が語る経験やスキルはあくまでも前職の環境下での話です。彼らはしっかりと前職の組織の色に染まっており、新たな組織文化に馴染み、活躍できるようになるためには思いのほか時間を要することが多い。そして、即戦力であらねば!と焦り、周囲にも相談できないまま早期離脱に繋がるケースが良く聞かれます。人は組織に馴染んでこそ、成果を上げ、適正な評価を受け、やりがいを感じることができるようになります。自分の能力を超える挑戦をして一皮むけるのも、仕事を工夫して相手(顧客等)を喜ばせることに喜びを覚え、企業が向かう方向性への共感と自分ごと化を通じて、高いモチベーションで次なる貢献を目指すようになるのも、全て馴染んでこそ、です。彼らが輝けば一緒に働きたいという人も集まる。企業はそのために、ミッション・ビジョン・バリューなどの経営理念をベースに組織文化を育み、人事制度や仕事環境を整えることで個々を支援する。定着に向けた支援はそこに向けた最初の一歩なのです。
